この現実が教えてくれるものは何か

突然ですが、明日日帰り出張に出ることになりまして。
ふだんは、手術した流れのまま、スニーカーとリュック通勤なのですが、
さすがに外勤でそれはいかんだろうと、
急遽入院前まで使っていた通勤バッグを引っ張り出してきました。

 

そのバッグの中で、ずっと眠っていたメモ、

『がん治療を考察する』が見つかったので加筆して転記します。

 

今思えば、告知から入院先を決めるまでの3ヶ月は、
怒涛だったけど倖せだったのかもしれません。

あんなに濃く
あんなに必死に
自分のことに向き合えたのは
ある意味幸運でした。

メモを書いたのは、

いろんな本やネットを読み漁って問題の方向性が見えかけた時期だろうから、
4月頃と思われます。

本やネットの情報を整理しながら、

突っ込んだり納得したりいろいろ悩んでるのがよくわかって面白いので

そのまま載せてみます。
改めて大事な時間だったなあと思えました。

最後の食事のメモは、複数の記事をまとめて書いてあったものです。

諸説あると思うので参考程度にご覧ください。


***************
『がん治療を考察する』

身体問題
精神問題
そして経済問題

 

何を優先に考えるかは、一人ひとりの価値観や人生観による・・・
自分の場合、最優先は「子どもとの生活」(子どもではない)⇒再発は避けたい

 

正直、山田にあこがれる。

が、山田にはなれない。少なくとも今すぐには。
(ここらへんは、朱郷慶彦さんのweb記事の影響です)

 

体力的なことはある程度予測がつくけど、
自分のやる気と自信がどこまで保てるかどう変動するのかは、
自分のことながら全く読めない。。。

 

 

闘おうとしなければ、がんはそれほど怖いものじゃないらしい。
現代のがん治療は、患者の心に切迫感を与える構造であることを

自覚して臨むことが大切。

 

 

患者には説明と同意を、と言われて久しいが、
気持ちの整理まではなかなかケアを望めない。。。


説明→(気持ち)→同意
    ↑ここが飛ばされやすい


今後必要なこと
①知識の整理⇒基本的には一人でやりたい。
・自分の答えは自分で見つけないと、その後の納得感が違う気がする
・困って手に余るような時期だけ、経験者(当事者)や専門員(医療者)と話して、

糸口をつかむ程度にしたい。
・「医師の話は信頼できる人と聞こう」「家族や友人と一緒に考えよう」と本にはよく書いてあるけど、
その人の心に生まれる感情や影響(衝撃)まで慮れる余裕は今の自分にはない。
・要は、単純にめんどくさい。(私の前で泣くな、先に言葉に詰まるな)
・そういう諸々は飛ばしていきなり病気の核心や専門用語を話せるのが、この人たち(当事者や医療者)の一番いいところではないか。
・相手と自分の理解度を同一に持っていくための労力は、今の時期、ストレス以外の何物でもない。これを減らす行動をとるのは、今の状況では本当に大切なことやと思う。
・普通の話題として話せる安心。


ほんと、がん患者は忙しい。
日常は続いていくのに、決めること調べることやることがたくさんある。
段階によって考えないといけないものが変わってくるし。

終わりがないよね、生活と結びついてるから。
頭が特に忙しい。平穏をくれ。黙って集中して何時間でも情報を整理できる時間を。

 

②気持ちをどこかに打ち明ける
・そのときそのとき、どう感じたのか。これをやっている人の方が予後がいいらしい。

 

③人生の再設計を少しずつ
・ちょっとここらで人生整理した方がいいよ、
っていう合図が出たのかも。
・まあ初期だから、命に別状ないから、まだ完治が見込める段階だからこんなことが言えるのかもしれんが。どの段階で告知されたかにもよるな。

 

<医師に伝えておくといいこと>
・自分にどの程度の知識があるか
・どの程度の説明を求めるか(私は、すべて詳細に知りたい)
・一気に聞きたいか小出しがいいか(あとで事実が覆ってもいいから、検査ごと何かわかる都度逐一、経過やそう判断した経緯までまるごと全部知りたい)

 

<困難との向き合い方>
「過去の人生で困難な出来事にどうやって対処してきたか思い出してそれを今に応用してみろ」とか
書いてあることも多いんだけどさ、
いまだに何一つ困難は解決してないんだよね。今なお解決途上というか。
解決してるってことは困難ではなかったというか。
ほんとに困難なことは何も参考にならんわ。

 

「自分らしい困難との向き合い方を今回もあてはめて使え」と言うなら
やっぱ本読みまくってピアサポート出まくって心療内科に通うことになるんかなあ。


<がんを消滅できる暮らし方>
日本人みながみな、
会社勤めに向いててそこにひとかけらのストレスも感じないか、
自営など自由の利く仕事に生活の糧を得られるかすれば
がんはこの国から消えてなくなるかもしれんな。なんて。


身体が動き、のびのび過ごせる時間を持つ人が一番助かる率が高い?
庭にジャグジーがある、アロマを垂らしてリラックス、理解のあるパートナーや親が毎日せっせとオーガニック料理を作ってくれる、そばで話を聞いてくれる。。。。
シングルマザーで子どもの食い扶持と教育費を一人で何とかしないといけない今の自分には何一つないでー、
そんなん不公平やーん!!!

 

だから。
俗世で会社勤めを続けようと思ったら標準治療以外は選択の余地なしー

 

いやでも働かないと生活を維持できない人は
ストレスにまみれて再発するリスクを止められないまま過ごせと??

 

・・・ちゃぶ台ひっくり返し隊!

 

 

アドバンテージ
=この現実が教えてくれるものはなにか。

 

前と同じようにやろう、なんて目標はナンセンス。

 

今一番したいことはなにか。できるかどうかは度外視して、
と問われたら?
私ならやはり、本を読む、字を書く、あれこれ考え事、そしてお互いストレスなく子どもと過ごしたい。かな。

 

出来る限りそこへ向かうしかないね。
基本に戻るけど、そんなことを教えてくれたのが、がんだ。

 

やりたいことをやれ。
それが無理ならせめて、やりたくないことをやめろ。


<食事のことメモ>
・いいものあれこれ
めこんぶ、もずく酢、きのこの炒め物、油でいためていないナッツ(アーモンド、くるみ)
有機野菜(特にニンジン、レモン)
胚芽を含む穀物、豆
乳製品、きのこ、海藻
油はオリーブか胡麻か(何よりえごま油がいいという説も)
水はナチュラルミネラルか浄水
お酒は蒸留酒を少量(禁酒してストレスになるくらいなら好きなものを飲んだ方がいいという説も)

・カロテンを多く含む優良食品
味付け海苔 抹茶粉 焼き海苔 紫蘇 モロヘイヤ 人参
パセリ バジル ゆでほうれん草 よもぎ 生あしたば ゆで春菊 生春菊 大根の葉


・がんの好物
精白された穀物と砂糖(黒糖なら少量OK)
塩分

油(特に動物性)
お酒とたばこ

 

再建手術の日程が決まりました

お久しぶりです。

すっかりご無沙汰してしまいました。

 

生まれたてさんも、元気に(?)5ヶ月経過し

順調に育っております。

相変わらず感覚はなくてしびれてる感じだし

重たいままだけど。

 

2月下旬に入院することに決まりました。

職場も私的にもごたごたあったけど

ひとまずは落ち着いて良かったです。

 

あ、妹の第二子も無事産まれました!

今は、いかに仕事を引き継いでスムーズに休むかしか

考えてない気がします(笑)

まあ、幸せなことかもしれません。

 

手術入院に持って行って助かった便利グッズを

整理したいなー。

自分のためにも。

退院しました

ドレーンが抜けず、予定より4日長い入院生活でした。

一言でいうと、

『充実してた☆』

かな。

 

手術前後はいろいろあって大変だったけど、

タイムスケジュールに慣れてみると、

上げ膳据え膳だし、

寝るとき部屋の電気まで消してってくれるし

看護師たちもみんな親切で用事があればボタン一つですぐ来てくれるし。

(しかも美人が多い!)

 

遅くとも23時に寝て7時前には起きる、規則正しい生活で、

いっそ健康になった気がする(笑)

 

何より、こんなにじっくり自分の時間が取れたのって、

出産以来はじめてだったような。

病院自体の自由度が高いってことも大きかったけどね。

半年後の再入院が今から楽しみだったりして。

 

悪いことばかりでもないもんだねー。

 

退院処方が手間取ったり、診断書に記載漏れがあったり

荷造り途中で疲れて昼寝したりしてて、

病院を出たのは15時。。。

(入院のしおりには『退院は午前中に』って書いてあるのにね。

帰り際、外来に診断書の確認に行った時は、受付の人に

「まだ居るとは思わなくて…。ちょっと待ってください」って恐縮されちゃった)

 

自宅で、小学校から帰ってくる息子を出迎えたら

「待ってた!!!」って満面の笑みで言われました。

恋人??(笑)

 

あと一週間は自宅療養になりましたので、

もうちょっとのんびりしようっと。

下着も買いに行かないといけないしね。

持ってるやつはしばらく使えないので。。。

 

働くの、すっかり嫌になってます。。。

上司に口頭で時差通勤の許可はもらえたけど、やっぱ電車通勤怖いよう。

生まれたてさん、よしよしなでなで

先日の記事で、関係ない右胸が痛いと書いたけど、

抜糸のあとバストバンドを使わなくていいと言われて外したら

痛みが途端に消えました。

締め付けすぎだったのね。。。良かった。。。

 

気付くとふと左胸をよしよししています。

生まれたてに必要なのは、

愛情とスキンシップだよねー。

 

よくぞ生まれてきてくれました。

仲よくしてね。

よしよし。

すごいテープと皮膚感覚のない怖さの話

手術8日目。
傷の痛みも随分マシになり、昨日から痛み止め飲まずに過ごせてます。

昨日抜糸して、傷を保護してたフィルムを剥いだせいか、
腋窩の傷が服に擦れたり汗が沁みたりして
痛かったです。
昨日の外出後はずっと脇にタオル挟んでました。

今朝の回診で先生に伝えたら、
これを貼っときましょう
と、3Mのマイクロポアを貼ってくれました。
「ついでだから」と胸の傷にも。

「一ヶ月くらいは、4〜5日ごとに自分で貼り替えてください。
傷の治りもよくなりますからね。
下の売店に400円くらいで売ってますから買っといてね」

簡単な説明だなー。
普通のテープとなにが違うんだ?

自分で調べてみたら、
マイクロ=小さな
ポア=穴
ってことらしく、

「肌呼吸をさまたげず保湿を保ち、紫外線からも護ることで、傷の治癒力を補助し傷跡もめだちにくくする」
すごいテープみたいです。

そして回診時、もうひとつ。
術側乳頭のやや上あたりに、小指の先くらいの小さな丸い皮剥けが。。。

「潰瘍できてるね。でももう治りかけかな」
なんと!見るからに痛そうなひどい皮剥けだあ!
いつからあったの!?

ニッコリ先生「消毒するからちょっと冷たいですよ」
私「…全然冷たくないです(泣)冷たさ感じません」
バッサリ先生「感覚がまだ戻ってないだろうね。しびれた感じでしょ」

感覚がない怖さってこういうことなんだね。
触ってる感じはあるんだけど。

術後は大きな固まりでしびれてて、
その後段々部分的に痛みが分かれて、
それが落ち着くと生理前に張ってる感じのひどいの、
って経緯かな。今のところ。

それにしても全く気付かなかった。
着替えのときに毎日目に入ってたはずなのに。

1~3か月くらいかけて徐々に感覚が戻るそうなので、
通勤電車とかでぶつかって傷が出来ても
気がつくのが遅くなって処置が遅れるかもしれないよね。。。

ただでさえ循環良くないから気をつけないと。

生まれたて

現在第二子妊娠中の妹。
今日の健診で男の子だと判明したそうな。
順調とのことで、めでたいですね。

考えようによっては、
40云歳の私のなかで、
左胸だけは生まれたてとも言えるかな。

乳がんと再建の同時手術の日か、
来春のインプラント入替え手術の日か、
誕生日の考え方がやや微妙だけども。

これから生まれてくる甥っ子とは同級生!

臓器移植を受けた方が
「心臓は2歳です」と書いてあるポスターかなにかを見たようなきがするけど、
あんな感じかな。

寝て起きたら左胸が痺れてる
ってだけの感覚だったけど、
この先長い付き合いになるわけだしね。

しかし、関係ない右胸が痛いのはなんでだ?

術後3日目、気付けば自分の時間を満喫中

ご無沙汰です。手術は成功しましたよ。転移もなさそうとのこと。

 

手術当日を含め本を4冊ほど読了し、

写真の整理をしたり、外を眺めてお茶を飲んだり。

 

痛みはまだまだ残りますが、

日常では考えられない優雅な時間を過ごしております。

PCに一時間以上向き合えるなんてちょっと感動です。

さて前回からの流れを、ちょっと振り返ってみます。

 

当日はぎりぎりまで小説読んでたんですが、

さすがに手術30分前を切ると内容に集中できなくなりました。

手術室までは歩いて行くし、お腹は切らないから下剤も排便も気にしなくていいし、

(実はこれが結構プレッシャーだった。便は自然のままに、と言われてホッ)

術前に点滴やその他の処置も一切ないし。

着替えを済ませると、何もやることないもんで。。。落ち着かない!

 

因みに。

患者取り違え防止のために、事前に術側の手首に印をつけます、

と説明されていましたが

勝手に「〇」とかそんな感じの記号だと思っていました。

 

ところが実際にマジックで書かれたのは「Te」。

手術室に入ってから意味を訊くと

「T」=Total全摘、「e」=エキスパンダー

ってことだそうです。

 

ここ数日は毎日のように一日1~2件乳房切除関連の手術が入っているようで

そりゃそこまで細かく書いておかないと、まさかってこともありそうだよなあ。

 

 閑話休題

病室まで看護師が迎えに来て一緒に形成外科へ行って、

医師に胸の切除面に印をつけてもらい、

それからそのまま手術室へ行く、と聞いていたのに

10分過ぎても誰も迎えに来ない。。。

 

ドキドキして待ってたら

「水緒さん!なんでまだここにいるの。形成外来で先生が待ってますよ」

と怒られる。

話が違うやん。。。と思いつつ慌てて形成へ。

ニッコリ先生が診察室へ招き入れてくれ、中に入るとバッサリ先生も待っていた。

 

二人で相談しながら、ニッコリ先生が真剣な表情で私の胸にマジックで線を描いていく。

え?

切るの、側面だけって言ってませんでした?

なんか、線長くない!?

 

「形キレイにしようと思ったらやっぱり下も必要だからね」とニッコリ先生。

傷の場所は側面だけに抑えるよ必要最小限にしてあげるってバッサリ先生は言ってくれたけど、

そういえばニッコリ先生とは傷の位置の話してなかったかも。。。

意味ないやん。。。

 

印付けが完了し記録用に写真撮影をしたあと、

複雑な気持ちのまま、落書き(?)だらけの左胸を揉んで

自分のおっぱいの感触に「さよなら」をする私を、微笑んで優しく見守る先生方であった。

つづく。